子どもたちのボキャブラリーは耳から入る情報で形成されていきます。したがって小さいときからの本の読み聞かせや大人との会話が、言語体系を形成するのに非常に大きな役割を果たしています。例えば地方に生まれ育った子どもたちが知らず知らずのうちに方言を体得してしまうのは、その地域の大人たちの言葉を聞き、あるいはコミュニケーションする過程で培われているからに他なりません。ですから、子どもたちの言語体系は耳からできるといっても過言ではないでしょう。
そうなると、日ごろから子どもたちに接しているお父さん、お母さんのことばづかいは子どもたちの言語体系を作るのにかなりの影響力を持っていることは明らかでしょう。何気なく日常使われていることばが、子どもたちに口移しで伝わり、日常使うことばに変わっていくのです。ですから子どもたちに対して使うことばにとどまらず、日ごろからお父さん、お母さんが使うことばづかいに気をつけなければなりません。
ことばづかいは乱暴であるか、ていねいであるかという問題だけではありません。
実は積極的であるか、消極的であるかという違いも大きいのです。中学受験でいえば、合否が決まるまで不安や心配がつきまといます。「落ちたらどうしよう」とか「このままだと合格しない」などという消極的なことばを親が使っていると、子どもたちもそのような気分になりやすいものです。
元来、子どもたちにはいろいろな可能性がありますが、それを引き出すきっかけとなるのもことばです。
そのことばが消極的であると、子どもたちがいろいろなことに挑戦するきっかけがなかなか出にくいでしょう。しかし、「できる」「やってみよう」など積極的なことばづかいを親が心がけていれば、当然子どもたちのことばもまた気持ちも積極的になってくるでしょう。そうなればいろいろなことに挑戦するし、たとえ失敗してもまた「やってみよう」という強いことばにうながされて、やり直してくれるでしょう。
やがてはいろいろなことに挑戦して、自分でできる範囲が広がってきます。そうなれば自信も出てくるし、自我が育つのも早くなります。
子どもを積極的な子に育てるためには、親が子どもに対して使うことばを積極的なものにすることが大事です。お母さんはどうしても生活の中で子どもたちに対して注意することばがり多くなり、ともすると消極的なことばづかいになりやすいので、ぜひその点は注意してみてください。
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